、 、
今でも鮮明に聞こえたことに驚いた。土方さんの私を呼ぶ声が耳の奥からしている。あーあ、あの時言いたいこと言っておけば良かったな、なんて今更思ってもどうしようもないことだけれど。だけどこの声を聞くと考えてしまうのだ。彼はどんなことを考えながら私の前からいなくなってしまったのだろうかと。あんなにいつもマヨネーズばっかり食べているんだから死ぬときは生活習慣病かなにかだと思っていたのになんであんなに格好悪い死に方なんてしたんですか。ばーか。
最期は彼らしくない死に方だった。どうして私なんかを庇って消えてしまったのだろう、彼にはマヨネーズより私よりも大事な仲間がいるというのに。そう考えると本当に土方さんはばかだった。最期の言葉も私に残していってしまった。近藤さんよりも沖田くんよりも坂田という土方さんのお友達よりも、私宛の言葉をずっとずっとずっと長く話していた。最期の最期に分量間違えてんじゃないわよ、ばっかじゃないの。などとあの鬼の副長に言ったら怒られるかな。ねえ土方さん、あなたのことを思い出すと勝手に視界がぼやけていくんですけどなぜなんでしょう。
「また今度墓前にタバコとマヨネーズ持って行きますね」
「・・・・ってオイお前なに勝手に殺してんだ」
「あれ土方さんいたんですか」
「しかも何が墓前にマヨネーズだ」
「いやあのときもし土方さんが死んでたらどうなってたんだろーって想像」
「ああ? 死ぬわけねえだろ、 」
彼の目線が空を仰いでいたので小さく笑うと「なに笑ってんだ」とこれまた小さく小突かれた。だっておかしかったんだもの。
だけど知ってる、
ちゃんと知ってる
お前を残して死ねるわけない、と言いたいのでしょ?