敷地内の女性すべてに笑顔を振り撒きながら足を進める。
御婦人のエスコートが終ってホスト部の営業に戻ろうとフラリと門の前を通りかかった。すると門の前には他高の高校生が1人突っ立っていた。 「うわー・・・」だとか「すごー・・・」だとか感嘆の声を上げている。


通り過ぎようとした瞬間、なにかが足を止めた。




桜蘭とは違う制服を着た女の子。女の子、なんだけれど頭の中にはこの目の前の子がホスト部としてお客様をもてなしている姿が浮かんでいる。そう、ビビっときたのだ。きっと彼女は女性に生まれながらにして女性を魅了する力を持っているに違いない、そう感じたのだ。目の前の華奢な肩を思い切りつかんだ。




「君!名前は!」

「は!?」

「いやとにかく!着いて来て!」

「え!?」

「みんなに紹介するから!みんな絶対喜ぶぞー!」




第三音楽室まで彼女の手を引いて走り出した。





(080321)